治療薬のマーケティングについて考えてみた
先日、某製薬会社のマーケティング担当と話す機会があった。
製薬会社は慈善事業をしている訳ではないから、商品を売って利益を出さなくてはならない。勿論それは正当な経済活動の範囲内であり、責められるものでは無いのだが、現場の感覚とは、少しギャップがある様に感じた。
まず薬剤の増量に関してだが、薬剤の増量を嫌がる患者さんは意外に多い。それは「薬は毒と表裏一体」という考え方が一般的である事の他に、この国で何度も繰り返されてきた薬害(クロロキン、サリドマイド、キノホルム、ソリブシン、血液製剤など)の暗いイメージが投影している様に思う。
よって薬剤の規則的増量プランに基づいてビジネスモデルを策定すると、思った様な伸びが得られず、プロモーション担当者の顔色が変わったりする様だ。
また薬剤の増量に関しては、コストの問題も関係してくる。薬価に「3つ買ったら1つはタダ」みたいなは割引制度がないので、同じ薬剤で処方量が倍になったら、支払いも倍になる。勿論殆どの患者さんは、保険制度による自己負担分のみを支払う訳だが、それでも倍になると随分厳しいし、複数の疾病を抱えている患者さんがむしろ多数派という時代、家計に占める薬剤費の比率を上げるのは容易な事ではい。
そしてあまり増量を勧めると医者の方にも負のイメージを抱かれてしまう。今は医薬分業の時代で院外処方が普通なので、病院の利益と処方の多寡は無関係なのだが、患者さんによっては「この医者は処方を増やして儲けようとしているのでは?」と思う事もあるだろう。
その結果、受診中断~転医という事になり、元々出ていた処方もゼロになるのだ。
経済理論に基づいた等比級数的増量計画、少なくとも医療の世界では馴染まない様な気がする。
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