医学・医療

2009/12/28

先日「日本辺境論」(内田樹著)について

 少し感想を書いたのだが、今日ハッと閃いた事があるので、書き留めておきたい。

 それはこの本の主題である「辺境人としての日本人とそのメンタリティ」が、今問題となっている「マッチングによる医師研修制度」を生んだのではないか?という事である。

 私の解釈では、内田氏は「辺境人としての日本人は、どこか他国ににある筈の理想的規範を求めて行動する」という風に述べているが、新卒医師の研修制度に関して、従来の医局講座制の弊害が問題視された時、医学界の指導的な立場にあった人々が、他国の様々なシステムを検討し、最終的に主に北米で行われて来た「マッチング+ローテートによる研修システム」というソリューションを採用したのではないかとという風に思えるのだ。

 勿論これは、業界のperipheralに居る者の推論に過ぎない訳だが、極めて優秀で、自らも留学体験を持ち、研究や臨床で先進的な世界に身を置いて来た人達が、そう考えるのはむしろ自然だろう。

 しかし、入学時の偏差値が(我々の頃に比べて)異常に高い最近の医学生とはいえ、卒業時のキャラは千差万別、短期集中型、長期持続型、環境順応型など通常パターンの人もいれば、即時習得短期忘却型とか、超長期集中持続型みたいな非定型的な人も結構居たりするから、初期研修の成否を決めるのは、結局プログラムの出来不出来ではなく、現場にいる指導医の熱意や裁量という事にになってしまうかもしれない。

 まあ日本の医療福祉制度は主に英国に倣ってきた来たと言われており、最近話題の「総合診療」も英国でプライマリ・ケアを担うGP(general practictioner)に相当するから、
今後制度が英国風味に変わっていく可能性もあるだろうが・・。

 かなり大風呂敷を広げてしまった(笑)。取りあえず今思うのは、隣の芝生が青く見えたが故に、研修指定病院と研修医が相互の希望を出してマッチングを行い、そこで一定のローテート・カリキュラムに従って腕を磨くろいう現行の方法は、残念ながら失敗ではなかったか?という事だ。

 辺境人としては、次の方法を探すという事になろうが、ここは一つ、現場の人間が知恵を出し合い、辺境に相応しいシステムを探すべきではなかろうか。勿論そこに盛り込むコンテンツは、種々雑多で良い筈だから。

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2009/12/05

未来のNeurologistへ贈る

 この週末は脳卒中関連の研究会と大学医局の同門会・忘年会の為、札幌に滞在している。

 久々に会う同門の先生方も、年齢構成は世間と同じく逆ピラミッド。ただ若いDr達が非常に優秀なので、何とかなっている部分もありそうだ。

 本人の希望と教育病院の要項をマッチングさせる現行の研修制度になってから、地方の大学病院は敬遠されがち。メディアなどで「総合診療」という実際にはあまり需要が無い分野が過大評価されたせいか、自分の専門を絞れないまま何となく流されてしまう若手Drも増えてる様だが、旧来の医局講座制による研修も満更悪く無かったと思う。

 今日の会合でも、故郷の過疎地で5年間地域医療をやってきた後輩Drの挨拶は素晴らしかった。

 彼曰く「神経内科医はつぶしが効く。なぜなら患者さんの話をしっかり聴き、丁寧に所見を取り、十分な説明をしてから治療に入るから」との事。

 確かに自分自身も日常的にやっているこれらの原則は、診療科という枠組みを超えた「診療の基本」。ここをしっかり守っていれば、そうそうおかしな事にはならない筈だ。

 二次会でも楽しい時間を過ごしたが、私自身の22年分の経験を蓄えた脳内ハードディスクをクラッシュする前にメンテナンスし、次世代のDrたちに利用して貰いたいという思いが、心の底から湧き上がってきた。まあ大したものでは無いし、断片化が著しいから、使い物になるかどうか分からないけど、それでも何かの足しにはなるかもしれないと思うから。

 帰宅してテレビを眺めていたらノムさんが出て来て「記録なんて作ったって何もならない。人を作る事が一番大切」と語っていた。

 レベルでは比較にならないけど、何だか凄くしっくり来た。

 人口の高齢化と共に、患者さんが等比級数的に増えている臨床神経学の世界に、多くの若いDrが進んでくれる事を、おぢさんは心から願っている。

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2009/11/29

花畑牧場の凋落?

 2007年から販売を始め、ピークの今春には何と143億1500万円を売り上げた、花畑牧場の「生キャラメル」。

 しかしその後、都内に相次いで出店した直営店(カフェや豚料理)は既に半数が閉店、生キャラメルの売り上げも今後伸びる可能性は無さそうだから、かなり苦しい展開になりそうだ。

 まあ一時はテレビ番組丸ごとCMみたいなのも多く、何となく「?」と思った訳だが、やはりそろそろ飽きられたという事だろう。

 我々の世代にとっての田中義剛のイメージは「北海道人の振りをした東北人(八戸出身)で、札幌郊外の大学に在籍していたフォークシンガー崩れのDJ(笑)という感じだが、色々検索してみると、農業への取り組みは真剣なもので、音楽の才能もなかなかのものらしい。

 今後どうなるのかよく分からないが、やはり「東京に出て勝負したい」というのは、誰しもが抱く大きな夢、ここまでやれただけでも立派なものなのかもしれないなぁ。

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2009/11/26

またまた睡眠導入剤・・

 婚活をエサにした30代女性による連続殺人疑惑でクローズアップされた睡眠導入剤、今度は39才の男性が、女性暴行、強盗強姦容疑で逮捕された。

 この手の犯罪は実に卑劣で、同じ男としては「もう~切っちゃえよ!」とか思うのだが、そういう訳にも行かないようだ。

 違う女性を次々居酒屋に誘って薬物入りの焼酎を飲ませ、近くにある自宅に連れ込むという手口はあまりに悪辣だが効果的、同伴する女性がいつも意識朦朧となるのを見逃さず、飲み残しの焼酎を保存して警察に通用したという居酒屋店員の良心に拍手を送りたい。

 そういえば数年前、製薬会社社員や男性看護師らと共に、薬物入りの酒を飲ませ、女性に暴行を加えた某大学病院の研修医がいたが、今検索してみたら、さすがに免許取り消しになっていた。

 睡眠導入剤はそもそも酒と一緒に飲んではならないもの、こうした事件を防止するために、アルコールに触れると真っ赤になるとか、そういう工夫は出来ないだろうか?

 医療に携わる者として、異常な物欲や性欲を満たす為に、保険適応が認められている薬剤が使われるというのは、何ともやりきれない気持ちだ。

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2009/11/24

今日の報道ステーションで

 アルツハイマー型認知症の話題が取り上げられていた。

 今日は終業後偶々地域のDr達と認知症に関する少人数の勉強会を開き、帰宅した後だったので、薄い珈琲を啜りながら、しばらく見入っていた。

 紹介されていたのは、姉が認知症を発症し、自身も最近物忘れを自覚している70代女性と、やはり兄が認知症だった可能性がある現役バリバリの60代男性。

 どちらも保険適応外のPET(アミロイド・イメージング)を含む認知症検診を受け、女性の方は異常なし。男性の方は、初回検査でアミロイド沈着を認めたが、現在認知症の進行を抑制できる可能性があるとされる様々な方法にトライし、、一年後再検査では、進行の所見無しと診断された。

 まあこの男性の方法が本当に奏功したかどうかは不明だが、番組では最新の免疫療法の一部も紹介されており、TV番組の作りとしては、割合印象が良かった。

 ただ先日の認知症学会(仙台)でも免疫療法については多くの報告、議論があり、血管炎や脳出血といった副作用をどうクリアするかが今後焦点となるだろう。

 私自身も日々向き合っている疾患だけに、身が引き締まる思いだったが、やはり現場の人間としては、治療より予防、早期発見といったあたりにまず軸足を置いてやって行きたいものだ。

 ちなみに個人的には、PETのligandはPIB?BF227?という辺りが気になった(笑)。

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2009/11/15

健康サンダルによる足底角化症

 何気なく「日経メディカルオンライン」を眺めていたら、「意外と知られていない皮膚疾患のNo5として、この病態が掲載されていた。

 実は私も最近、院内で健康サンダルを履いているのだが、慣れると結構気持ちが良いだけに、ちょっと不安になってしまった。

 記事によれば、履き始めから発症までの期間は数ヶ月~数年、症状も最初は痛みがあるものの、その後軽くなり、角質増殖型白癬疑いとして受診する人が殆どだという。

 まあ自分の場合でも、足底は70kg近い加重を受ける他に、水平方向へズレの力も受けるから、長期間そのような状態が続くと、皮膚に何らかの器質的変化が起きても不思議はなさそうだ。

 幸い履くのを止めれば2ヶ月ほどで治癒する例が多く、薬剤は無効との事だから、やはり健康サンダルを履くのは止めた方が良いかも知れない。

 ただ「水虫」として治療されてる人は結構沢山いるんだろうなぁ。

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2009/11/06

睡眠導入剤

 最近何かと話題になる30代女性が関わった男性の不審死。首都圏だけでなく、山陰でも同様の事件があって驚いたが、いずれのケースでも遺体から「睡眠導入剤」の成分が検出されている。

 確かにネットで練炭を大量に買えば、明らかに怪しまれるが、外来で「最近眠れなくて体調が悪いので、少し処方して下さい」という患者さんに医者が「No!」と断るのは難しいから、睡眠導入剤の悪用を、診察室レベルで防ぐのは難しいだろう。

 まあ保険証を使って受診した場合には、簡単に足が着くから、自由診療や闇市場でのチェックを厳しくするのが先だろうが、今後病院での処方に関しても、何らかの規制がかかると予想される。今も安易に処方しているつもりは毛頭ないけど、今まで以上に気を遣わなくちゃダメだな。

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2009/11/03

昨日は疲れ気味に出勤したけど

 何とかdutyを果たして定時に帰宅。夜から今週末札幌で開かれる「第18回北海道脳PET・SPECT研究会」に出す演題「脳SPECT統計画像を用いた非Alzheimer型認知症の診断」という演題の仕込みに没頭していた。

 深夜までかかってデータを整理し、一部解析をし直した後就寝。トシのせいかあまり寝坊できないので、普通に起きて家事をした後、軽く午睡して、その後テレビも点けず(日本シリーズ日ハム2敗目残念!)、音楽を流しながら7時間くらい頑張った。

 今回は90例の検討だが、AD(Alzheimer型認知症)26例に対しFTD32例、いわゆるFTLDの範疇に入るCBDも数例あり、ADが圧倒的に多かった数年前に比べると、かなり様相が変わっている。

 個人的にも年々「認知症」と「神経変性疾患」のオーバーラップが増大している印象があったが、要は我が国の平均年齢が上がって来た為、「脳の老化」という共通の原因を持つ両病態が重なり合って来たのだろう。

 以前にも書いた様に、脳循環障害(脳卒中、脳血管性認知症、慢性脳循環不全)や神経変性疾患(変性認知症を含む)は今後さらに増えていくだろうから、根治療法の研究は勿論、対症療法、予防なども含めた手立てを急がなければならない。

 私ごときがこんな事を言うのはおこがましいが、現場では、こうした疾患が既にcommon diseaseである事が日々ひしひしと感じられ、焦る気持ちに駆られるのだ。

 まあ取りあえずやれる所からやっていくしか無いんだけど・・・。

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2009/10/26

新型インフル予防接種開始

 朝出勤してきたら、17時から接種予定との紙がデスクの上に置いてあった。

 すべての患者さんの診療が終わった17時頃から、外来で職員の接種開始、何と私が一番目だったので、ちょっと緊張したが、今の所特に問題は無さそうだ。

 それでも30分後くらいに中枢神経症状が出る事があるそうだから、その有無を確認するまでは院内に留まらなくてはならない。

 本当は受験生の三男に打たせてやりたいのだが、そういう訳にはいかないんだよね(笑)。

Flu

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2009/10/16

これも老化現象なのかな?

 この頃「気付いたら朝」という日が時々ある。勿論記憶が抜けている訳ではないのだが、目覚めた瞬間は「あれ?今何時?」と軽い失見当識状態である。

 多くは出張などで非常に疲れた時、寝不足が続いた後なのだが、飲めない体質で深酒する事がなかった自分にはこういう経験は無かったから、やはり何らかの老化現象なのだろう。

 去年は同年代の友人、知人の訃報が多く、単身赴任の自分もかなり凹んだが、今年はそれなりにmedical managementをしているので、何となく安心している。

 ただ年々色んなリスクが増えて行くから、あまり油断しない方が良さそうだ。

 脳卒中や心血管イベント、そして日々自分が向き合っている認知症においても、予防的なmedical managementが有効とされている。取りあえず身をもってその事を実証出来ると良いのだが(笑)。

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